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ページをめくると物語が生まれる、パンフレットの企画構成

本と映画で決まっている、順番。

世の中にはいろんな種類の媒体、コンテンツ、作品があふれていますが、なかでも僕は本と映画が好きです。いち読者としてはウェブサイト、ウェブメディアはどうも苦手です。こんなこと、ウェブメディアに書くべきじゃありませんね。

もちろん、書く側としてはウェブもおもしろいのですが、僕が本と映画が好きなのは、ちょっと考えてみると、その媒体特性にあるような気がします。

本と映画の読者あるいは観客は、作者の意図したとおりの順番で情報を知ります。本であれば、ページをめくらないと物語は進みません。普通の読者は表紙から入り、1ページ目から順番に読みます。映画も同じです。初見から飛ばしたり戻したりして観る人はいないでしょう。冒頭からエンドロールまで順番に観るはずです。映画館で観るならなおさらです。つまらないシーンだって1秒足りとも飛ばさずに順々に観るしかありません。まあ、寝ることはあるかもしれませんが。(同じ紙媒体でも雑誌や新聞、辞書などは少々違っていて、これらはコンテンツが非連続なのでどこから読んでもいいようになっています。)

作者の手のひらで転がされる幸せな感覚が、僕は好きなのです。

ウェブの場合、次にどこに進むかの選択肢は無数にあるわけです。ボタンを押して同じサイト内のどの記事に飛んでもいいし、タブを切り替えて別のサイトに飛んでもいい。ひとつのサイト内だけで考えても、各ページを読んだり見たりする順番は基本的にはユーザーに依存します。もちろん、だからウェブはよくない、紙がいい、ということではありません。あくまで媒体の性質が違うだけで、使い分けの問題だと思います。

パンフレットに備わっている、順番。

ハッテンボールでは紙ツールをつくること、多いです。会社のパンフレットだったり、採用活動で使う学生向けパンフレットだったり、広報誌だったりと、種類はいろいろあります。もちろんウェブサイトもつくります。あ、映画はつくったことありません。機会があったらつくってみたいですね。ともあれ今回は、採用パンフレットについての話をします。

採用パンフレットは大抵の場合、数ページのもので、とりあげる内容はさまざまです。事業内容、仕事内容、社員構成、社員紹介、キャリアモデル、福利厚生、会社の歴史などなど、企業が学生に伝えたいことのなかから内容を取捨選択。企画化してページ内に収めます。

たとえば仕事内容、社員紹介、キャリアモデルを取り上げるとします。採用パンフレット自体は順番に読むことを強制する「読み物」ではないので、読者である学生は仕事内容から見てもいいし、社員紹介から見てもいい。キャリアモデルから読んでもいい。このユルさは雑誌に似ています。

でも、雑誌であれ、採用パンフレットであれ、ひとつだけ、読者に強制できる順番があります。それは「表紙→中面」という順番です。どんな紙媒体であれ、読者の目にまず飛び込むのは、表紙です。そして、表紙をめくらないことには中面を確認することはできません。開いた状態で渡したりしない限り、普通は「表紙→中面」というこの究極絶対の流れを変えることはできません。「表紙→中面」は、ありとあらゆる紙媒体の公理です。

ある採用パンフレットで活かした、順番。

先輩と僕とでコピーを担当した「東フロコーポレーション」さんの採用パンフレット。代理店(カケハシスカイソリューションズ)から依頼を受けた案件ですが、ページ構成など企画面もハッテンボールに任せていただけました。

東フロコーポレーションさんは、B2Bの流量計メーカーです。流量計とは、液体や気体の流れる量を正確に測定し、制御する装置。半導体など、精密部品の製造現場にて使われています。

流量計というユニークな商材を活かした企画にしたい。ついでに「表紙→中面」という順番を意味あるものにする企画にしたい。結果、こんな表紙になりました。

開くとこうなります。

表紙では、いまだ計測中だった社風。中面ではついにその結果が発表される、という仕組みです。「表紙→中面」という読む順番に、実際の時間の流れをなぞらえる。表紙と中面とが連続した企画です。

結果発表はまだ続きます。

そして最後に、裏表紙。

心まで測れる人になろう。計測するのは、流量や社風だけじゃない。同僚の心情も測ろう、という心あたたまるオチです。結果として「表紙→中面→裏表紙」という流れに意味を持った企画となりました。採用パンフレットは一行一行厳密に読んでもらうことを想定した読み物でこそないですが、ページをめくる順番を利用して「物語」を描くことができたのではないでしょうか。

PERSON