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コピーライターが考える「A Happy New Year」にAがいる理由

どんなキャッチコピーが有名なのか

大学生の妹に聞いてみました。

——キャッチコピーでなんか知ってるやつ教えて

——何それ?

——なんか企業名とか商品名とかについてる言葉だよ

——わからん

——たとえばさ、ファミリーマートだったら『あなたと、コンビに、』、マクドナルドだったら『I’m Lovin’ It』とかそういうやつだよ

——なるほど

ということで、日本語に興味なし、広告に興味なし、ただK-POPが好きで国語が大嫌いな理系女子大生がいくつか知っているものを挙げてくれました。僕のキャッチコピーの説明は乱暴ですし、それはキャッチコピーというよりタグラインではないかというご指摘もあり得ますが、あくまで妹に質問するためですのでご容赦ください。興味のない人にでも印象に残る広告の言葉とは何かを知りたかったのです。

具体的には、こんなものが挙がりました。

お、ねだん以上。(ニトリ)

カラダにピース(カルピス)

100年をつくる会社(鹿島建設)

マチのほっとステーション(ローソン)

新製品が安い(ケーズデンキ)

鹿島建設は建築学部生のひいきなのでおいておくとして、どれも有名どころ。やはりTVCMが強いですね。出稿量が多いから頭に残るのか、印象的な表現だから頭に残るのか、おそらくはその両方だと思いますが、ニトリとカルピスとケーズデンキに関しては脳内再生も余裕です。もはやコピーだけでどこの企業かわかりますし、僕自身も人生の中でおそらく一度は思わず口ずさんでいる気がします。いつかはこんな知名度の高いタグラインを書いてみたいものです。

「あっ小林製薬」における「あっ」の効果

ほかにも妹は思いつくコピーを挙げてくれて、それが

あっ小林製薬

というものでした。

これも印象的なCMコピーです。妹に聞かされて気づいたのですが、このコピー、とてもすごいと思います。端的に、好きです。山といえば川、ツーといえばカー。「お、ねだん以上。」と聞かされれば「ニトリ」と答えられますし、「カラダにピース」と聞かされれば「カルピス」と答えられる。「あっ」と聞かされれば、条件反射的に僕は「小林製薬」と返すことができると思います。

短く端的なコピーを書くのはとても難しいことです。ブランドが印象に残るコピーをできるだけ短く。「お、ねだん以上。」も「カラダにピース」もすでに充分短いですが、なんと小林製薬は「あっ」の2文字だけ。それだけで、しっかりと小林製薬のブランドイメージができあがっています。

「あっ」の2文字には、僕が思うだけで3つの意味が込められている、素晴らしいコピーです。

①もともとのタグライン「あったらいいなをカタチにする」の省略形

②小林製薬に感動する消費者の驚きや感動の「あっ」

③視聴者が小林製薬のCMだと気づくときの「あっ」

妹に聞いてからずっと僕のお気に入りのコピー、「あっ小林製薬」。単純な僕はすぐにこれを下敷きに自分も何か書いてみたいと考えていました。

小林製薬を年賀状に応用してみる

チャンスが巡ってきたのが2020年正月の年賀状。ハッテンボールはこれまで毎年お付き合いのある方々に自作の年賀状を送っていますが、今回はそのコピー案を任されました。ハッテンボールに入社して初めての年賀状。クライアントワークではないにせよ自社が発する新年一発目の言葉。緊張もありましたが、それ以上に楽しい。いくつか考えてみました。

その中には

アイウォンチュー

なんていう、ねずみ年にかけた稚拙でくだらないダジャレもありました。今考えればこれが採用されなくて本当によかった。この場で供養しておきます。

結果、採用されたのが

あ、HAPPY NEW YEAR!! 気づいた頃には新年でした。

という案。社長の手直しと先輩のデザインによって、最終的にはこんな年賀状になりました。

まるでビートルズのホワイトアルバムのごとくシンプルです。

ともあれ、小林製薬への愛情を年賀状という形でどうにか昇華することができ、清々しい一年のはじまりとなりました。今の僕が気持ちよく仕事ができているのは、この年賀状のおかげといっても過言ではありません。

最後に、年賀状という季節外れのテーマの記事となってしまったことをお詫びします。ハッテンボールでは媒体問わず、さまざまなコピーの企画をお任せいただけます。今ですと暑中見舞をお任せいただくのがいいかもしれません。みなさま、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

※お祝いの言葉としての「Happy New Year」に「A」をつけるのは正しい英語ではないようです。

 

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