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35ドルのロゴマークが生んだ価値

突然ですが、ロゴマークを作るのが好きです。なので今回はロゴについて書きます(笑)。
*以下、ロゴと言います。

言わば企業(やサービス)の「顔」とでも言うべきロゴ。ロゴを基点とする企業のヴィジュアルコミュニケーション全般の計画を指してVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)と呼ぶケースもあります。(美術館なら、ロゴから看板や施設案内のピクトグラムやサインが作られますよね。あれです)

ロゴと言えば、かのナイキのスウッシュと呼ばれるあのロゴのデザイン料が、たったの35ドルだったのは有名な話ですよね。(1971年、ナイキの創業者フィル・ナイトが講師をしていた大学で、デザイン科を専攻していた女子学生キャロラインに、ロゴのデザインを依頼。彼女が沢山出した案の中に、フィルが納得できるものは無かったが、印刷の都合で急いでロゴを決める必要があったため、仕方無しに採用したロゴがあれ。という話)

この時、フィルは「今はこれが最良のデザインとは思わないが、時間がたてば馴染むに違いない」と、妥協の末に選択したそうです。彼女にとっての35ドルの善し悪しは分かりませんが、「依頼主が納得してくれていない」ことを、キャロラインが知っていたならば…その心情は察するに余りあります。

意外と長い、ロゴの歴史。

ロゴの歴史は大変古いです。紀元前のメソポタミアで円筒印章が確認されているところから始まったと言われています。歴史について詳細は割愛しますが、産業革命を経て写真とリソグラフ(版画)によってタイポグラフィと画像がひとつになり、広告産業を成長させました。この流れとともに、ロゴという概念が欧米を中心に一般化していきます。

現代のロゴとしては1864年、イギリスのBass Brewery(ビール醸造会社)から始まりました。アメリカやヨーロッパで一般的になった後、日本にもその流れが到来、昭和初期の広告にも散見されるようにロゴというものが普及していきます。

当初は大企業だけが持てばよいとされてきたロゴでしたが、バブル期の1980年代には、中小企業もその流れに乗って次々とロゴを作り、大企業は大御所デザイナーに依頼し既存のロゴをリニューアルするなど、本格的なブームを迎えます。そしてやがて殆どの企業がロゴを持つ時代になりました。

たかがロゴ。されどロゴ。

前置きが長くなりました。たかがロゴ、されどロゴ。顔だけに、そのイメージが企業の第一印象を変えると言っても過言ではありません。これは責任重大です。だから新規も刷新も、ロゴを作る際は、ダイナミックかつ繊細なシーンでいっぱいです。事例を少し紹介します。

◎SOLUNA様(リニューアル)
風評被害対策のソルナは、法人特化のブランドセキュリティを主業務とする会社。インターネットにおける風評や誹謗中傷の危険性や、対策による拡散防止を得意としています。

[ロゴマーク・デザインのコンセプト]
社名の由来である、SOL(ローマ神話の太陽神)+LUNA(ローマ神話の月の女神)。「O」の文字に、その意味合いを、潔くシンプルに込めました。

 

◎「RAKUSHOKU」 STIフードホールディング様
RAKUSHOKUは食品会社であるSTIフードホールディングが手がける、介護施設向けの食事提供サービス。品質の高さ(美味しさ・豊富なメニュー)が売りです。

[ロゴマーク・デザインのコンセプト]
RAKUSHOKUは楽食。弊社富永による「楽しく、おいしく。食べる人も、つくる人も。」というタグラインが表すように、想いがそのままサービス名になっています。ですので、ロゴも同じように「想いを体現したものに」と考えました。真ん中には、おいしいものを食べて笑顔になる人。その左に大きな「食」マーク。この中には「らく(楽)」が隠れています。(ぜひ、探してみてください!)

 

◎墨田区「SUMI SUMI(フリーペーパー)」、「SUKI SUMI(Webメディア)」
墨田区のまちのプロモーションを担う両媒体。SUMI SUMIは「すみだ、すみこなしマガジン」。すみだをすみこなすための、あらゆる情報や視点を伝える冊子。WebメディアのSUKI SUMIは、誰でも投稿できる機能を持った双方向性のあるウェブマガジンです。

[ロゴマーク・デザインのコンセプト]
すみだは川に囲まれた区。そんなすみだの水辺では、吾妻橋や駒形橋に代表されるように沢山の橋がその風景を彩っています。区民にとっても見慣れた情景である、その橋のシルエットをモチーフにした文字(タイポグラフィ)によって、構成しました。

一緒にロゴ、作りましょう!

前置きが長くなったせいで事例紹介がコンパクトになりましたが(苦笑)…
弊社ハッテンボール、ロゴマーク開発もやっております。料金は35ドルぽっきり!とは言いませんが、丁寧なヒアリングから、フットワークよく、その企業の「らしさ」を表現したロゴをお作りします。

余談ですが、冒頭のナイキの話には続きがありまして…
創業から12年後の1983年、創業者フィルはキャロラインを食事に誘います。そこでナイキのメンバー達と共に彼女を待っていたのは、ダイヤモンドと金で出来たスウッシュの指輪でした。さらに彼女にはナイキの株も贈られたそうです。そして翌年の1984年には、ナイキはかの「エア・ジョーダン」で空前の大ヒットを飛ばすことになります。

ナイキがメガブランドになった事に、50年にもわたり輝きを失わないこのスウォッシュの貢献が多分にあったと感じるのは、僕だけじゃないと思います。シンプルながら、いつ見ても非の打ち所のないこのロゴ…唸らせられます…
そうこう書いていたら、ナイキのスニーカーが欲しくなってきたので、ちょっとネットショップへ行ってきます〜!

 

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